生徒用p.13 外部被ばくと内部被ばく
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この記述は、放射線と放射性物質についてなど、混同・混乱が見られます。

@:「放射線は、体を通り抜けるため」という部分に関しては、 γ線や中性子線ならば該当します。しかし、単に通り抜けるだけではなく、 通り抜けるときに、生命の設計図であるDNAを傷つけることがあります。 α線やβ線は、人間の体に当たると、ほとんど通り抜けることは出来ません。 人間の体の細胞に衝突して、それを破壊するなどして、そこで停まります。

A:「汚染してしまった場合は、シャワーを浴びたり洗濯をしたりすれば 洗い流すことが出来ます。」というのは、放射線ではなく、放射性物質のことです。 両者は異なるものですがら正確に区別して記述することが必要です。 放射線による被ばくをしてしまったら、その影響を取り消すことは、まず出来ません。

B:外部被ばくに比べて、内部被ばくの方が、放射線被ばくによる身体への 危険性が高いことを記述して、だからこそ、内部被ばくを防ぐ工夫が必要だ というように、記述を立体的にするべきではないでしょうか。
 単に内部被ばくはこれこれである、というような定義的な記述に終わらせるのではなく、 放射線の影響が問題になっている今日では、出来る限り放射線による被害をなくすには どうするべきかという観点が必要だと思います。

C:この読本の記述は、これまで原子力開発を推進するためという位置づけの中で 制作されてきた副教材の姿勢から、十分な転換がなされたとは思われません。 いまだに、放射線が日常的に身の回りにあることを強調し、 放射線の影響を過小評価するような書き方が目立ちます。

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