p.1-6 E:放射線についての理解 | ↑前のページへもどる |
「このため、放射線の種類や性質、放射線による影響についてしっかりと理解することが重要です。」と書いてありますが、「このため」というのは、何を指しているのでしょうか? 前段に書かれているのは、私たちの生活を豊かにする放射線の有用性についてですから、放射線についての学習は、放射線の有用性を理解するために必要だと読み取るしかありません。それが、今この時期に文科省が国民の税金を使って全国のこどもたちに放射線副読本を配布し、放射線教育をする目的のようです。 はたしてそのようなことのための放射線教育が今国民的に必要とされているでしょうか? 現在:2019年春:福島第一原発事故は、大規模な放射性物質の拡散こそ収まりつつありますが、原子炉内の核燃料の位置すらつかめず、各地に拡散された放射性物質は"除染"作業によってある程度は掻き集められたものの、その最終的な処分方法については有効な解決策が見つかっていません。各地にホットスポット/マイクロホットスポットが存在し、私たちの日常生活のすぐ近くに放射性物質が存在しているところがあります。また、日常的な立ち入りが制限されている帰還困難区域が広範囲に存在し、原子力緊急事態宣言は解除されていません。 今、必要とされる教育は、各地に拡散した放射性物質からこどもたちがどうやって自分たちの健康を守っていくかということのための教育のはずです。そのために、どこにどのような放射性物質が存在するかを知り、その放射性物質の特性をつかみ、それらからこどもたちがどうやって自分たちの健康を守るかということを、日常生活の中で具体的に知ることが求められています。 しかし、この放射線副読本の目的は、現状必要とされているものとはほど遠いものだといえるでしょう。 |
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