福島原発事故では、原子力発電所から放射性物質が漏れたことを検知し通報するシステムがうまく機能しませんでした。測定器は動いていたようですが、連絡するしくみがうまく機能しなかったようです。そもそも原発で事故が起これば、原子炉から漏れ出た放射性物質が風に乗って運ばれていくことはわかりきっていました。しかし、原発は絶対に事故を起こさないし、万が一事故が起こったとしても『五重の壁』で守られているから大丈夫という安全神話ゆえに、事故が起こることを予想するのはタブーになっていました。その結果、事故が起こってからの見通しや有効な対策は考えられていませんでした。事故後、放射性物質が大量に降り注いでいたのに、そのことを知らされず、大量の被ばくをさせられてしまった人々が大勢いたことが問題です。
しかし、放射線副読本のこの部分の記述は、あたかも原発事故が自然災害だったかのように書かれています。被ばくの危険を伝えることができなかったのは明らかに人災です。そうした反省を込めた記述がどこにも見当たりません。
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