この文章もつながりがよくわからない文章です。このパラグラフを分析すると"避難を余儀なくされ・・慣れない生活・・いじめられる・・除染して復興・・・二度といじめが起こらないように"とつながっています。
この副読本によれば、いじめの原因は"放射線への理解が足りない"ことのようですが、いじめは放射線のことを皆が理解したからといって、なくなりはしないでしょう。
放射線教育で偏見排除 再開の学校支援全力 柴山昌彦文科相
2019/03/05 08:05 福島民報
東日本大震災と東京電力福島第一原発事故から八年となるのを前に、柴山昌彦文部科学相は福島民報社のインタビューに応じた。児童生徒への放射線教育の充実による偏見の排除、避難指示が解除された地域で再開した学校の支援に全力を挙げる考えを示した。《中略》
−原発事故で県外に避難した子どもがいじめの被害に遭うケースがある。児童生徒に放射線と健康に関する正しい知識を身に付けさせる必要がある。
「学校教育で放射線に関する科学的な知識を教えることが重要な課題だ。新学習指導要領では中学二年の理科で放射線に関する内容が追加され、放射線教育の充実が図られた。昨年十月には四年半ぶりに放射線副読本を改定し、全国の小中学校に配布した。福島県の子どもの体験談を基に、避難した児童生徒への差別、いじめを防ぐための内容を充実させた。教育委員会や学校に副読本の活用を促しながら、放射線教育の充実と偏見の除去に努める」
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なんだか、おかしなところで肩に力が入っていますね。
日本で言われる放射線安全論では、避難者をしてきた生徒児童をいじめているこどもたちに、いじめをやめさせる効果は乏しいと思われます。いじめの原因はもっと別のところにあるようですし、放射線の問題はいじめられる直接の原因ではなく、口実にすぎないと思われます。
それよりも何よりも、副読本のこの文脈では、除染・復興の話の次ですから、"二度と原発事故を起こさないように"と続くのが自然なのではないでしょうか。原発事故は二度と起こるはずがないからあえてふれず、いきなり"いじめ"問題にすり替わっています。
文科相は"いじめ"問題を口実に、この放射線副読本を日本中のこどもたちに配布しているのでしょうか。その本当の目的は、放射線の有用性を見直してもらい、原子力開発への理解を広めるために、放射線に対して、よいイメージだけを持たせようとしている、とでもいえるでしょうか。