「一人一人が事故を他人事とせず、真摯に向き合い、災害を乗り越えて次代の社会を形成するためには何をすべきかを考えるきっかけとなることを願っています。」
いったい誰がこれを書いているのか、これを書く資格のあるものが書いているのか、はなはだ疑問です。今なお、福島県内県外併せて4万人近くの人々が避難生活を送っています。(県内仮設住宅等6700人、県外避難者3万2千人:2019年2月復興庁・・・復興庁の人数には県外へ避難した自主避難者者まれていません)県外に逃れた自主避難の方々に対する住宅無償提供などの支援は打ち切られました。ふるさとに帰還すれば多少の支援はあるものの、放射能の危険と向き合わなければならなくなります。
原発事故により我が家を追われ、身ぐるみはがされる被害を受けた何の罪もない避難者に、このような生活を送らせているのは、いったい誰なのか。国際標準からしてもかなり高いレベルの放射線被ばく基準を押しつけ、被ばくの危険性と隣り合わせの帰還を無理強いしている政府が、「事故を他人事とせず」などと言っても空々しいばかりです。
文科省の念頭には2020年の東京オリンピックのことがあるかもしれませんが、オリンピックは復興の役にはほとんど立っていないことを大方の福島の人たちは見抜いています。
NHKが2019年3月9日、事故後8年目を直前にして、夜7時のニュースで右写真のようなアンケート結果を紹介しました。アンケートは、2018年12月〜19年1月、岩手・宮城・福島の4400人余りを対象に実施し、そのうち回答は1608人でした。オリンピックが復興の役に立っているかどうか聞いた設問で、役に立っていると答えた人は15%ほどしかいませんでした。60%の人が役に立っていないと回答しています。
ニュースではアンケートの紹介の次に、帰還困難区域の方がぼろぼろになった自宅を紹介しながらオリンピックに否定的な意見を述べていました。このニュースのアーカイブはNHKのサイトではすでに見ることは出来ません。同じ日の他のニュースは見ることが出来るのに、おかしな話です。(2019年3月22日視聴)
次代の社会を形成することを考える前に、まず現在苦しんでいる被災者に寄り添うことこそ求められているはずです。そのためには、きちんと避難する権利を認め、被災地に帰還してもしなくても、しっかりと生活の保障をしていく必要があるのではないでしょうか。