送電費用
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送電に関わる費用には送変電設備そのものの建設費用と、その保守・管理費用があります。さらに、送電線の抵抗から生じる送電ロスも計算しなければなりません。 |
ばかにならない送電ロス |
送電線と変電所の建設・保守・管理費用 |
原子力は本当に安い? インデックス |
このうち送電ロスは、距離に比例し、送電電圧を高くするほど小さくなります。そこで日本の電力会社は100万ボルトという世界でもまれに見る高圧の送電線を開発しました。しかしそれでも日本全国では、現在でも総発電量の5%ほどが失われていることになるそうです。2000年度、資源エネルギー庁の概算によれば、全国で1年間約458.07億kWhの損失になるそうで、この数字は、「100万kW級の原子力発電所6基分」の発電量に相当します。
原子力発電所は、火力に比べ消費地からかなり離れたところにあります。東電の場合、火力発電所は横浜から千葉にかけての東京湾沿いに立地しているのに対して、原発は図のように、直線距離にして福島第一・第二、柏崎刈羽原発で東京都心から約200km、東通原発に至っては550kmもの距離があります。
水力発電所は都心部から100〜150km圏にありますが、水力発電所の発電容量は一般水力のみだと全発電容量の3%強しかありません。ちなみに、原発と切っても切れない関係のある揚水式発電所は全発電容量の10%です。従って、水力の合計は約13%ほどですから、送電ロスの大部分は原発に関係したものといってもいいくらいです。
日本で開発された100万ボルトの送電線は、鉄塔の大きさがどれも高さ100m以上に達します。そのような鉄塔を何百も建てて、発電所から都会へ電力を送っています。送電線の末端には、送られてきた電力を実際に使えるようにするために、大規模な変電所が設置されています。当然送電線と変電所の建設・保守・管理費用は巨額なものとなります。 東京電力の場合、公開されている2002年度の損益計算書によると、送電費として4001.76億円、変電費用として2118.17億円かかったことになっています。この年の電力販売量は2819億kWhですから、単純に計算して送変電費用として1kWhあたり約 2.17円かかっていることになります。
前述のように火力は消費地東京の比較的近くに発電所があるのに対して、原子力・揚水式水力はいずれも遠隔地にあります。このように発電容量・電源別販売電力量・送電距離などいろいろ考えると、あくまでも目安として考えるだけですが、この送変電費用のかなりの部分は原発・揚水式発電関係のものだといえないでしょうか? 従ってその分は、原子力発電の影のコストとして計算に入れるべきだと思います。
リンク:100万ボルトの送電線画像 「送電線」:個人のHP
http://www5b.biglobe.ne.jp/~y1hiro/G052/G052G001.htm
http://www5b.biglobe.ne.jp/~y1hiro/G062/G062G001.htm