がんの諸原因について、放射線もそれら諸原因の一つに過ぎない、と
いうような、放射線をことさらに特別視しないで大丈夫という扱い方に違和
感をおぼえます。事故後によく見られた、さまざまなリスクの中で、たとえ
ば自動車事故に遭うリスクと比べて、放射線でがんになり死ぬリスクは、
それほど大きくないのに、何故自動車は良くて、放射能は悪いのか、とい
うような比較です。そもそも、比較する必然性のないものを、リスク評価と
いう同じ物差しで測るような視点は、あまりに功利的すぎて、作為的な印
象がぬぐえません。
「ウィルス」や「大気汚染」ならともかくも、「喫煙や食事・食習慣」は、い
うなれば自己責任の問題です。強制的に有無をいわさず、放射線に被ば
くさせられている人たちから見れば、問題をすり替えられているようにも受
け取られることでしょう。「喫煙」について同じように「出来るだけ少なくす
ることが大切です」とか、よい「食事・食習慣」をするように心がけましょう、
などと述べることがこの副教材の目的とは思えません。放射線の危険性
について学習することが目的のハズですから、放射線の危険性を相対化
するような作為は、避けるべきだと思います。
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