生徒用p.3 植物からの放射線を映し出す | ↑前のページへもどる |
この写真は、スイセンに含まれている カリウム40の放射線を写したものだそうですが、 いまこの実験をやったらもっとくっきりはっきりと写るはずです。なぜなら福島原発事故で、 大量に放出された放射性物質は、東日本を中心に広範囲にふりつもっていますので、 おそらくほとんどの植物に水を通じて吸収されているはずだからです。 現在、東日本でこのような実験をすると、自然のカリウム40による放射線だけでなく、セシウム134・137など人工の放射性物質による放射線も感光して区別がつかないのではないでしょうか。 それほど広範囲に、大量に放射性物質が拡散している現実があり、 そのことを指摘したほうが、放射線を身近に感じることができるはずです。 |
生徒用p.3 中性子線の利用 | ↑前のページへもどる |
中性子線は透過力が強く、唯一「水」だけが中性子線への防御効果が高く認められています。 (副読本9ページ参照) ここでは中性子線の利用による効果がうたわれていますが、 私たちの生活にはほとんど無縁の利用方法です。 果たしてこのような利用法を普通の子どもたちが知っておく必要があるのでしょうか。 中性子線に関しては、放射線汚染が問題になっている現在の日本においては、 このような利用法についてよりも、その人体や環境に与える影響について、 説明した方が有益ではないでしょうか。 例えば、JCO事故に際して亡くなった2人の方が、主に中性子線を被ばくして亡くなったこと、 中性子線の強力な透過力で、広範囲に中性子線の被ばくが観測され、 被ばく者の総数は2000年4月までに667名をかぞえること等の説明の方が、 現在ではふさわしいと思われます。 よくわかる原子力HP 東海村JCO臨界事故 参照 この3〜4ページに紹介されている放射線の役割については、 現在福島原発から拡散した放射性物質への対応が問題になっている時に、 不要不急の内容であり、この時に発行される副読本にふさわしい内容とは思えません。 |
生徒用p.4 CTによる体の断層撮影 | ↑前のページへもどる |
日本人の医療被ばくは、世界で一番です。 医療関係者が安易にCTなどにたよる医療行為が問題になっています。 CT検査による被ばく量は、一般人の年間被ばく限度量1ミリシーベルトをはるかに上回り、 1回で5〜8ミリシーベルトの被ばく量です。 放射線被ばくによるデメリットと、治療に役立てるメリットを よく考えて利用することが望まれているということを、ここでも指摘するべきです。 日本の医療被ばくは、世界でも飛び抜けている。 【緊急被ばく医療研修のHPより】 |
生徒用p.4 偶然から発見された放射線 | ↑前のページへもどる |
この実験で使われていたのは、右写真のようなクルックス管と呼ばれる放電管です。学校の理科室などでもこの実験装置を見かけることがありますが、レントゲン博士が実験で確かめたように、そこからは放射線の一種X線(ガンマ線)が出ているので注意が必要です。 レントゲン博士は、最初の発見から7日間研究室にこもってX線に関する論文を書き上げ、発表したとこのとですが、その間やその後の生涯にわたり、かなりの量の放射線被ばくをしているはずです。しかし、まだ、放射線の量の単位や、その身体への危険性も知られていなかった時代ですので、レントゲン博士の被ばく量はわかりません。博士は1923年にガンで亡くなっています。 |
生徒用p.5 太古の昔から自然界に存在する放射線 | ↑前のページへもどる |
生物と放射線は共存できません!! ■自然放射線って何? 原子爆弾や原子力発電所から出る放射線とはちがい、 人間が作りだしたのではない放射線を 自然放射線といいます。 その中には宇宙や太陽や地中からでてくる放射線や食べ物の中にある 物質がだす放射線がふくまれます。 そのために「生き物は地球上に誕生したときから放射線を受けている」 という説明をよく聞きます。 この副読本の説明も、「放射線は今初めて接するものではなく、 自然の中に元々あるものだから、何も怖がることはない」ということを言いたいようです。 でも下の図を見てください。この図は、地球が誕生してから現在まで、 地球にふりそそぐ宇宙からの放射線(宇宙線)や紫外線しがいせんと、 地球の生き物の関係をえがいたグラフです。 図中A :生命が生まれたのは生物に害をあたえる宇宙線がとどかない深い海の底でした。 図中B :生物が浅い海でも生きられるようになったのは、 地球上にふりそそぐ宇宙線をふせぐバリアー(ヴァンアレン帯)ができた後でした。 放射線が命に危険にならないくらい少なくなったからです。 図中C :海の中に酸素を作り出す細菌(さいきん)が生まれると、 大気中にたくさんの酸素がたまりオゾン層ができました。 植物や動物が海から陸に上がって生きられるようになったのは このオゾン層が命に危険な紫外線を防ぐようになったためです。 このようにみてみると、生き物は放射線の害がすくなくなり、 命に害をあたえない場所にひろがっていったことが分かります。 今も私たちが自然の中で浴びている放射線の影響で、 わたしたちはガンになったり、その他の様々な影響を受けているのです。 |
生徒用p.6. 食べ物から | ↑前のページへもどる |
カリウムは確かに人間の体にも欠かせない栄養素ですが、 放射性カリウム40が、欠かせないわけではありません。 放射性のカリウム40は、できれば食べない方がいい物です。 このような身の回りの放射性物質が原因で、遺伝子が傷つき、 人間はがんになったり、白血病になったりしているのです。 さらに、人工の放射性物質を、カリウム40などのような 自然にある放射性物質以外に余計に取り込む必要はまったくありませんから、 放射性物質は環境中にない方がいいのです。 この部分の記述のように、放射性物質がいくら身の回りにあったとしても、 それが人間の体には「無用」であるばかりか、 基本的に「有害」であるはずなのに、ただ身の回りに「多く存在」していて、 「無害」であるかのような印象を読む者に与えようとしている記述があちこちにあります。 放射線・放射性物質に対する心理的な障壁をできる限り取り除いて、 放射線・原子力への親しみやすさを養おうとする意図がミエミエですので、注意が必要です。 生物と放射線は共存できません!! |
生徒用p..9 放射線の透過力 | ↑前のページへもどる |
ここで述べられている放射線の透過作用に関して、 物質を透過するときに、ただ透過するだけではないことを 指摘する必要があります。 とりわけ、生物の体を透過するときには、 生物の遺伝情報であるDNAを傷つけたりして、 生物にがんなどの障害を引き起こすことがあることの説明が不足しています。 根本的な認識として、放射線が生命に対して有害であることを 説明しておくべきではないでしょうか。 生物と放射線は共存できません!! |
生徒用p.10 放射線・放射能の単位 | ↑前のページへもどる |
こどもたちだけでなく、一般の大人たちに説明をするときでも、 いちばん理解してもらうのがむずかしいのが、この「単位」です。 ベクレルに関しては、例えば、日本の食品の新基準値(2012年4月より) ではほとんどの食物の基準が1kgあたり100ベクレルで、 これは、WHOの基準が10ベクレル/kgに比べると10倍も甘い基準です等、 というように、具体的に例をあげて説明した方がよりわかりやすいと思われます。 また、シーベルトに関しては放射線管理区域という、 一般の人が立ち入りを禁止されている場所は、 「毎時0.6マイクロ・シーベルト」です、というような、 具体例が必要です。 1000マイクロSv=1ミリSv 1000ミリSv=1Sv 1マイクロSv=1000分の1mSv=百万分の1Sv μ:マイクロ m:ミリ ちなみに、1年間の一般人の許容線量は、1mSv/年=1000μSv/年 です。 1年間= 365日 × 24時間 = 8760時間 1000μSv/年 ÷ 8760時間 = 0.11μSv/時 ということになります。 このことから、一般人の許容線量は およそ 0.1μSv/h(時)となります。 |
生徒用p.11 放射線が通った跡を見る。 | ↑前のページへもどる |
放射線が通った跡を見ることができる実験装置が「霧箱」という実験器具です。 文部科学省が全国の高校などに「エネルギー(原子力)教育予算」としてつけた予算では、 必ずこの実験器具を購入するように指導がされていました。一台70〜80万円もする実験器具ですが、 ほとんどの学校では、年に一度使うか使わないかで、実験室の隅っこでほこりをかぶっています。 |
生徒用p.12
1898年ラジウムの発見 マリー・キュリー、ピエール・キュリー |
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キュリー夫人のラジウム発見は、偉大な業績です。 一方で、第一次世界大戦中にキュリー夫人自らが放射線を利用した負傷兵士の X線撮影などの活躍もしたこと、それ故にそうした活躍のために彼女は大量の 被ばくをして、放射線障害と見られる症状に苦しんだことも重要な事実です。 当時は放射線による障害の知識が無かったという歴史的な限界もありました。 現在の私たちは、そうした放射線の功罪を知っているはずですから、 メリットだけを取り上げるのではなく、それにともなう「犠牲」の存在も指摘すべき ではないでしょうか。 |
生徒用p.13 外部被ばくと内部被ばく |
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この記述は、放射線と放射性物質についてなど、混同・混乱が見られます。 @:「放射線は、体を通り抜けるため」という部分に関しては、 γ線や中性子線ならば該当します。しかし、単に通り抜けるだけではなく、 通り抜けるときに、生命の設計図であるDNAを傷つけることがあります。 α線やβ線は、人間の体に当たると、ほとんど通り抜けることは出来ません。 人間の体の細胞に衝突して、それを破壊するなどして、そこで停まります。 A:「汚染してしまった場合は、シャワーを浴びたり洗濯をしたりすれば 洗い流すことが出来ます。」というのは、放射線ではなく、放射性物質のことです。 両者は異なるものですがら正確に区別して記述することが必要です。 放射線による被ばくをしてしまったら、その影響を取り消すことは、まず出来ません。 B:外部被ばくに比べて、内部被ばくの方が、放射線被ばくによる身体への 危険性が高いことを記述して、だからこそ、内部被ばくを防ぐ工夫が必要だ というように、記述を立体的にするべきではないでしょうか。 単に内部被ばくはこれこれである、というような定義的な記述に終わらせるのではなく、 放射線の影響が問題になっている今日では、出来る限り放射線による被害をなくすには どうするべきかという観点が必要だと思います。 C:この読本の記述は、これまで原子力開発を推進するためという位置づけの中で 制作されてきた副教材の姿勢から、十分な転換がなされたとは思われません。 いまだに、放射線が日常的に身の回りにあることを強調し、 放射線の影響を過小評価するような書き方が目立ちます。 |
生徒用p.13 自然界から受ける放射線量 |
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このグラフは、福島原発事故の前の日本の状況です。 それを忘れてしまうと、世界平均よりも日本での被ばくの方が 少ないようになっているので、生徒は安心してしまうかもしれません。 ですが、事故前でさえも教師用指導書p.22(右グラフ)にあるグラフを見ると、 日本人の被ばく量の方が医療被ばくのせいで多くなっているという現実があります。 なぜ、こちらのグラフを生徒に紹介しないのでしょうか。 自然界からだけ受ける放射線量を比較するグラフとどちらが重要な情報でしょうか。 こどもたちは、総体としての被ばく量を知っておく必要があるのではないでしょうか。 また、日本のこの被ばく量は、福島原発事故により確実に増大しています。 そのことを指摘する必要があるはずです。 こういった点にも、文科省がわざとこのようなデータを示している(隠している) のではないかと考えてしまいます 教員用p.22-b の注も参照。 |
生徒用p.14 体内、食物中の自然放射性物質 |
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これだけ自然の放射性物質があるわけですから、 それ以上の人工放射線を被ばくしない方がよい、 という方向でこの問題を解説するべきではないでしょうか。 「これだけ放射線は身の回りにあるのだから、少々増えても大丈夫」 と考えさせるためにこの資料をのせているのでしょうか。 放射線と生命は共存できないという考え方が基本にあるべきだと思いますので、 このような資料の提示の仕方には疑問を感じます。 また、昔、チェルノブイリ原発事故の時には、 輸入食品は放射性セシウムの線量を1kg370ベクレルで規制して、それを超過したものは、 原産地へ送り返していました。その基準でいえば、ポテトチップや干ししいたけ、 干し昆布は食べられないことになります。 それくらい放射線にはきびしく対処した方がよいということを、 こどもたちには示した方がいいと思います。 |
生徒用p.14-b 放射線から身を守るには |
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確かに、ここには放射線から身を守る方法が解説されていますが、 現在何故、こどもたちが放射線から身を守らなければならないのか、 その原因についてはどこにも詳しい解説はありません。 つまり、福島原発からどれだけの放射性物質が放出されたのか、 どこにどれだけの放射性物質が蓄積しているのか、といった具体的なデータがありません。 また、このところ問題になっている、ホット・スポット、 マイクロ・スポットが実際にはどんなところに存在しているのか、具体例で示す必要があります。 |
生徒用p.15 身の回りの放射線被ばく |
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図中の記述 イラン/ラムサール自然放射線(年間) インド/ケララ、チェンナイ(旧マドラス)自然放射線(年間) ブラジル/ポコスデカルダス自然放射線(年間) これら、放射線量の多い場所をこのグラフの中に、書き込むべき理由がよくわかりません。 これら自然放射線量が高い場所でも、人々の生活が営まれているということの例として、 こうした地名をあげているようですが、だから、 これくらいの被ばくは大丈夫だといいたいのでしょうか? 放射線量の高い場所をのせるのなら、逆に線量の低い場所ものせる必要があるのではないでしょうか。 放射線は基本的に生物にとって有害だという視点で |
生徒用p.16a 放射線による人体への影響 |
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この部分は、中学教師用の読本解説21ページに掲載されている、 ICRP2007勧告に矛盾しています。 このような表現をするべきでないと、勧告は述べています。 ICRPは、集団実効線量について次のように記述しています。 「集団実効線量は、放射線の利用技術と防護手段を比較するための最適化の手段である。 疫学的研究の手段として集団実効線量を用いることは意図されておらず、 リスク予測にこの線量を用いるのは不適切である。 その理由は、(例えばLNTモデル(しきい値無しのモデル)を適用した時に) 集団実効線量の計算に内在する仮定が大きな生物学的及び統計学的不確実性を 秘めているためである。特に大集団に対する微量の被ばくがもたらす集団実効線量に基づく がん死亡数を計算するのは合理的ではなく、避けるべきである。 集団実効線量に基づくそのような計算は、意図されたことがなく、 生物学的にも統計学的にも非常に不確かであり、 推定値が本来の文脈を離れて引用されるという繰り返されるべきでないような多くの警告が 予想される。このような計算はこの防護量の誤った使用法である。」 (ICRP2007年勧告 Pub.103) |
生徒用p.16-b ガンのいろいろな発生原因 |
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がんの諸原因について、放射線もそれら諸原因の一つに過ぎない、 というような、放射線をことさらに特別視しないで大丈夫という扱い方に 違和感をおぼえます。 事故後によく見られた、さまざまなリスクの中で、たとえば 自動車事故に遭うリスクと比べて、放射線でがんになり死ぬリスクは、 それほど大きくないのに、何故自動車は良くて、放射能は悪いのか、 というような比較です。 そもそも、比較する必然性のないものを、リスク評価という同じ物差しで 測るような視点は、あまりに功利的すぎて、作為的な印象がぬぐえません。 ある事柄のリスクは自分の問題として考えるとよくわかります。 その際次の3つの観点を考える必要があります。 @:そのものごとを選択したり、拒絶したり、自分の責任でコントロールすることが出来るかどうか。 A:それを選ぶことによってなにかメリットがあるかどうか。 例えば、骨折したときにX線検査によって治療の方針が見つかるときはそれなりのメリットがありますが、症状もなく健康なのにX線撮影をして被ばくする人はいないでしょう。 でも、日本の学校では、結核予防のためとして、X線の間接撮影を全員が受けなければなりません。 世界中のどの国でもやってないことです。(直接撮影ならまだ被ばくは少ないはずですが・・・・・)。 B:そのものごとに置き換えられるもの(代替手段)はないかどうか。 福島原発事故でまき散らされた放射能によって私たちは被ばくしていますが、そのリスクはこれら3つの観点から考えたときに、そのリスクを引き受けなければならないような事情があるでしょうか。 なお、放射線によるDNAの損傷については、 こちら を参照してください。 |
生徒用p.17〜18 放射線の利用 |
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放射線の透過力など、効能ばかりが強調されていて、その危険性について、説明がありません。 キュリー夫人が車に積んだエックス線装置で第一次世界大戦中の兵士の診断を始めたことが 書かれていますが、この活動が彼女の健康を害し、後に放射線障害と見られる症状に苦しんだこと にも注意を向けるべきです。 |
生徒用p.17 農業での利用 |
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生物に放射線を当てて、突然変異を起こし、品種改良を行う技術に関しては、 自然の生態系をそこねることの無いように、慎重に行うことが求められています。 遺伝子組み換え食品と同じで、放射線照射により人為的に遺伝子改変された生物が、 自然界に放たれた時、自然の生態系の中での影響は、見通すことが困難という 側面もありますから、いいことばかりではありません。 「ジャガイモの発芽抑制」というのは、放射線によってジャガイモの成長細胞の DNAを破壊し、新芽の細胞分裂が起こらないようにしたものです。 つまり、細胞を殺してしまうことです。 そのような食品を摂取することについて、心配されています。 |
生徒用p.19 環境モニタリング |
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福島原発事故の際には、周辺の放射線の値が、避難すべき人々に 伝えられなかったことが問題です。文科省が毎年数億円の予算を使って整備してきた という「放射性物質拡散予測システムSPEEDI (緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム)」が、シミュレーションをしながらも、そのデータを公表しなかったりしたことの責任は どうなっているのでしょうか。 このような「日常時」のシステムがありながら、それが事故の時になぜ周辺の人々に 伝えられなかったのか、文部科学省・東京電力どこからもきちんとした反省のことばが 発せられていません。それで、いくらこのような「日常時のシステム」があるからといっても、 それで避難した人たちを始め全国各地の原発周辺に住む人々が、 納得・安心できるわけがありません。 測定はしていても、単にデータとして残すためだけに測定するのではなく、 どのようにして住民に対してそのデータをすばやく提供するかが問題です。 この部分の記述は、事故前とまったく変わらず、何事もなかった、従前の平常・日常のことを 記述しているにすぎませんから、およそ現在の状況にはふさわしくありません。 また、福島原発事故の際には、緊急事態応急対策拠点施設、いわゆるオフサイトセンターが 全く機能しませんでした。原発に近すぎて、放射線量が高すぎ、電源・通信手段が遮断されて、 何の役にも立ちませんでした。事故は起きないという過信のもとに構築されたシステムだった からです。 緊急時に、最悪の事態に備えた監視体制・住民への周知のシステムの構築が必要です。 |
生徒用p.20
地面に落ちた放射性物質
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この記述はこどもたちを危険にさらすので問題が大きい。 放射性物質は地面に落下したとしても、無くなったわけではありません。 「地面」にあるわけですから、「それまでの対策をとらなくてもよくなる」とは思えません。 土壌に混じっているのであれば、土埃などと一緒に舞い上がることも考えられますから、 防護服を着たり、マスクをつけたりする対策は、依然として続けるべきです。 また、身長の低いこどもは大人よりも地面に近く、地面からの放射線の影響を 受けやすいはずです。「対策をとらなくてもよくなる」というのは、大人目線の考え方です。 なぜこのような記述をするのかを考えると、放射線・放射性物質は人体に対して 影響が少ないと考えるようにしむけるためだろうと思われます。 |
生徒用p.20
退避や避難の考え方
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福島原発事故の際に、「パニックを防止する」ということを名目にして、 必要な情報が住民に伝えられなかったことの反省は一体どうなっているのでしょうか? 例えば、放射性ヨウ素がこどもたちにとっては危険なレベルであったことを 後になって鈴木元:原子力安全委助言メンバーが公表しました(8.18.朝日新聞)。 彼は何回も原子力安全委員会に通知したそうですが、彼の報告は公にはなりませんでした。 自治体や県や国も正しい情報を伝えませんでした。そればかりか、 事故当時ヨウ素剤を配付し、飲ませようとしたことを、まるでデマのように扱った メディアがいくつもありました。(読売新聞2011.3.15、2011.3.21) また、ヨウ素剤の服用は必要ないと公言した、御用学者(山下俊一: 福島県放射線リスク管理アドバイザー3.21.)もいました。 こうした問題点の指摘・反省なしには、今後の防災計画は立てられないはずですが、 このような問題についての真剣な検討は、未だかつて聞いたことがありません。 |
生徒用 p.22
中村尚司 東北大学名誉教授
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この副読本の編集委員長 中村尚司 東北大学名誉教授 が講師となって、副読本の普及のための教職員対象の研修会が、富山県教育委員会の主催で開かれました。その模様を富山大学の林衛氏がレポートしています。 市民科学研究会のHPからご覧になって見てください。 中村氏は、ICRPの勧告とも矛盾した内容を主張していることが、よくわかります。 「放射線教育・リテラシーはこれでよいのか」 林衛 『市民研通信』第137号(PDF) |
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