教師用p.19 しきい値がないと仮定する影響 | ↑前のページへもどる |
中学・高校生用の副読本教員用解説:指導上の留意点には「100ミリシーベルト以下の低い放射線量と病気との関係については、明確な証拠はないことを理解できるようにする。」とあります。「明確な証拠」はないにしても、全く関係がないことにはなりません。確率的な影響はあるわけですから、予防原則に立てば、できる限り被ばくを少なくするに越したことはないはずです。 ICRPも次のように述べています。 ICRP2007 勧告(日本語訳)より 『約100 mSV を下回る低線量域では,がん又は遺伝性影響の発生率は、関係する臓器及び組織の等価線量の増加に正比例して増加すると、仮定するのが科学的にもっともらしい。それは、例外はあるが、線量反応データーと基礎的な細胞過程に関する証拠によるものである。したがって, 委員会が勧告する実用的な放射線防護体系は次の根拠に基づく。約100 mSV を下回る線量においては,ある一定の線量の増加は、それに正比例して放射線起因の発がん又は遺伝性影響の確率の増加を生じるという仮定である。この線量反応モデルは一般に"直線しきい値なし仮説又はLNTモデル"として知られている。 LNTモデルを採用することは,線量・線量率効果係数( DDREF )について判断された数値と合わせて,放射線防護の実用的な目的,すなわち低線量の放射線被ばくのリスクの管理に対して根拠を提供している。LNT モデルは実用的な放射線防護体系において、引き続き科学的な説得力があるが, このモデルの根拠となっている仮説を明確に実証する生物学的あるいは疫学的知見は、すぐには得られそうもない。 すなわち、低線量における健康影響が不確実であることから, 委員会は, 公衆の健康を計画する目的には長期間にわたり多数の人々が受けた、ごく小さい線量に関連するがん又は遺伝性疾患について、仮想的な症個数を計算することは、適切ではないと判断する。』 つまり、低線量被ばくにおいては、被ばく量からそれによる障がいの発生数を予測するには、現時点ではデータ不足ということ。しかしだからといって、障害が発生しないわけではない。 |
↑前のページへもどる 検証TOP▲ |