教員用p.9-10 放射性物質の変化・半減期 ↑前のページへもどる

 ここで説明されているのは、放射性物質の半減期減期についてです。例では、半減期が8日のヨウ素131 I 131 が扱われていますが、半減期には様々な長さがあります。数百万分の一秒以下のものもあれば、原子力発電所の使用済み核燃料に含まれるストロンチウム90 Sr90 は29年、プルトニウム239 Pu239 は2万4千年です。
  放射性物質はその半減期の10倍くらいの期間が過ぎないと、その放射能の影響を考えなくてもいいようにはならないといわれています。つまり、ここで教えるべきコトは、それだけの期間、放射能の影響が消えないということです。プルトニウム239の場合、半減期は2万4千年ですから、その10倍、つまり24万年もの間、放射能を持ち続けるということになります。
 また、いま福島原発から放出されて環境中に拡散されたセシウム137は、半減期が30年ですから、およそ300年間はその影響が消えないことになります。




 生物(人間)の体内に入った放射性物質の「半減期」は「生物学的半減期」という考え方があります。この教師用のページで解説されているのは「物理学的半減期」というものです。

 ただし、「生物学的半減期」に関しては、誤解が生じやすい。福島原発事故後の現在では、環境中にセシウム1 3 7 ( 一定期間内ではヨウ素1 3 1 ) などの放射性物質が大量に存在し、それら放射性物質は環境中に生活する人体に連続的に内部被ばくを引き起こしています。従って、実験室的にたった一度だけ放射性物質の内部被爆にさらされた場合であれば、「生物学的半減期」で人体に取り込まれた放射性物質の放射線量は半減することになりますが、連続的に内部被ばくしている状況では、むしろ放射線量は蓄積していくことになります。そうした指摘は不可欠です。


 このグラフは文科省も信奉しているICRP:国際放射線防護委員会が、福島原発事故が起こった2011年4月に、特に日本の放射能汚染に向けて発表したデータです。
 実効半減期を考慮したとしても、毎日10ベクレルずつ飲食などを通じて摂取していると、400日ほどで1400ベクレルまで蓄積していくことが示されています。そして、今、東日本では、それくらいの摂取はごく当たり前になっています。

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