p.8-3   再生可能エネルギー
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■浮体式洋上風力発電
 ヨーロッパでは盛んな洋上風力発電ですが、比較的海が浅い北海などの海で海底に固定する方式(着床式)で大規模な風力発電施設がつくられています。デンマークはは全人口560万人の小さな国ですが、2013年に必要な電力の30%を風力発電でまかないました。このうち洋上風力は36%ほどです。(2013年) 同国は2020年までに風力発電の割合を50%に引き上げる計画です。
 日本の海は沿岸部でも水深が深いので、浮体式の洋上風力発電を開発しています。
 日本には風力発電の適地が多くあり、環境省によるポテンシャル(潜在量)調査では、風力発電の導入可能量は18億8000万kwという膨大な量で、うち洋上風力が16億kwの発電能力があるといいます。これは日本中あらゆるところに風力発電を建てたときの予想ですが、風力だけで日本全国が必要な電力をすべてまかなってたっぷりおつりが来ます。


■遅れている日本の風力
 ただし、日本の風力発電の開発は欧米諸国にくらべると、遙かに遅れています。



 電力会社は現在でも風力発電の導入に積極的とはいえません。風の状況の良い北海道では、北海道電力が風力発電の電力の買い取り量が極めて少なく、風力発電をやってみたい事業者はたくさんあるのに、入札で制限されてしまいます。風力発電を建てる際に、発電した電力を電力会社の持つ送電網に接続するための送電線を電力会社はつくらず、風力発電事業者の自己負担になることがあり、採算性を悪くしています。
 そうした事情の裏には、原子力発電推進に片寄ったエネルギー政策があります。
 政府が策定した エネルギー基本計画(2014.4.11.)には、2014年7月現在全国で停止している原子力発電所を今後どの程度維持するのか、明確に示されていません。これは、原子力開発を継続したい安倍政権が、原子力の将来的な規模を明確に示さないことにより、再生可能エネルギーなどの代替エネルギーへの積極的な投資を牽制するねらいがあるといわれています。つまり、もし原子力が将来大きく復活すれば、電力会社が風力の電力を買わなくなる恐れがあるので、風力などへの大規模な投資をためらう事業者が多くなるのです。

■電力自由化
 世界では主流となっている再生可能エネルギー開発ですが、中でもその中で最も有望な風力発電なのに、日本ではまだ開発に本腰が入っているとはいえません。
 こうした状況を変えるには、電力会社が発電方式を選ぶのではなく、消費者が選ぶ送配電の仕組み、すなわち、"電力の自由化"を進める必要があります。その中心的な仕組みは、現在の大手電力会社による地域独占を転換し、"発電・送配電分離"を推し進める必要があります。




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