生徒用p.8-5   被災地の復興・再生に向けて・・・・ ↑前のページへもどる

■帰還ありき
 福島原発事故によって住まいを追われた15万人以上の方々の故郷に寄せる思いは、まさに断腸の思いだろうと思います。生活基盤・地域のコミュニティーを根こそぎ奪われ、遠隔地で避難生活を送るご苦労は、察するにあまりあると思います。元のご自宅に戻りたいという思いはさぞかし強いことと思われますが、一方で、それを阻む現実があるようです。各地の放射能汚染の現実は、政府とその御用機関がいくら安全宣言をしても人々の心配をなくすことができていません。

帰還困難区域       年間被ばく線量 50ミリシーベルト超
居住制限区域       同 20ミリシーベルト超50ミリシーベルト以下
避難指示解除準備区域 同 20ミリシーベルト以下

 政府や行政が安心・安全を宣伝する放射線のレベルは、国際的な基準に比べると高すぎて信用されているとはいえません。ところが、政府の方針は「除染」をして、放射線のレベルをある程度「基準」以下にすれば、住民を帰還させる、帰還ありき"の政策を推進しているようです。
 2015年3月には東電は避難者への慰謝料(1人当たり月10万円)を打ち切りました。また、3月末までに帰還すれば慰謝料に上乗せして早期帰還者賠償(1人当たり90万円)を支払いました。こうした「帰還誘導施策」によって、避難指示解除から1年を経過した田村市都路地区では住民の約半数、全113世帯342人中 63世帯189人がすでに帰還したり帰還の意思を持っていたそうです。 (2015.4.5.朝日新聞)

■推進派の人たちは
 他方、一部のマスコミ・学者たちの中には、年間20ミリシーベルトの被ばくは健康影響を与えないと主張しています。 福島で失敗を何故繰り返すのか・(アゴラGEPR)
 文部科学省はこの副読本の中で、低線量被ばくの健康影響についてははっきりしたことはわからない、だから、心配することはない、と主張しているようです。


■住民たちの苦悩
 このような状況の中で、住民のみなさんの苦悩はさらに増しているようです。帰りたくても帰れない現実、除染してもしきれない放射線が、人々の帰還を阻んでいます。
 福島県南相馬市で放射線量が局地的に高い「特定避難勧奨地点」に指定されていた住民132世帯535人が、前年12月の「特定避難勧奨地点」指定解除を違法だとして東京地裁に提訴しました(20ミリ基準撤回訴訟)。

プロメテウスの罠 帰還の現実 2014.5.25.朝日新聞
震災4年目の福島 帰還意思 朝日新聞

 
【未完】
2014年度の調査では、12月末までに結果を公表した5町1万6261世帯のうち「戻る」と回答した人は約2割。一方、「戻らない」と回答した人は約5割にのぼった。 地域によっても住民の意向に違いがあり、放射線量が比較的低い「避難指示解除準備区域」が広いほど、帰還の意志は強まる。
 




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