p.1-4  C:病院では放射線が検査や治療に利用されています ↑前のページへもどる

 放射線を用いた検査や医療による被ばくは、それによる診断・治療のメリットがあるはずだからです。ですから医療被ばくには線量限度がありません。被ばくによる害よりも、メリットの方が大きいとされるときに、放射線検査・治療は行われることになっています。これを"正当化"といいます。また、その被ばくの程度も、検査や治療に充分な量にされるべきです。これを"最適化"といいます。
《下図は放射線副読本のp.8.の資料と同じ。図の上にカーソルをのせると大きくなります。》
 日本では、放射線医療被ばくの正当化・最適化が保証されているでしょうか?
 日本は世界的に見て医療被ばくがかなり多いことが資料からもわかります。これは、日本にはレントゲン機器、とりわけCT機器がダントツに多いことと関係がありそうです。高額なCT機器が市井の医療機関にも導入されていることで、機器利用のチャンスが増え・・・導入したからには利用しないとモトがとれない・・・という医療機関の経済的な理由から、CT撮影の回数が多くなっているのではないでしょうか。
 私たちの日常では、医者にかかってレントゲン検査やCT検査を受けることになった場合、医者に検査の必要性や、被ばく量を確認することは滅多にないでしょう。どんな検査・治療をするかはだいだい医者任せになっているのが現実ではないでしょうか。
 こうした状況から、厚生労働省の「医療放射線の適正管理に関する検討会」(米倉義晴座長)は2018年6月、医療機関が医療被ばくの線量管理・記録を実施する方針をとりまとめました。被ばく量を適正に管理し低減化させることを目指して、医療被ばくの線量記録を義務化する方針だといいます。医療機関の準備期間を考慮し、施行は2020年4月の見通しだそうです。
 2018年10月5日、日本のCT台数が先進国(OECD加盟国)平均の4.1倍にも達していることを財務省も問題視しました。財務省は10月5日に発表した2018年度の予算執行調査で、高額な医療機器の配置が過剰で、医療費負担を押し上げていると指摘しています。(日経新聞2018.10.5.)  

        
↑前のページへもどる   検証TOP▲