p.15-1  「いじめ」のあつかい ↑前のページへもどる


 前回の副読本で「風評被害、いわれのない偏見・差別」というタイトルだった章に、今回「いじめ」のことばが入れられました。
 「震災いじめ」は、大震災から7年以上経った今も続いていて、依然として深刻です。
 被害を受けた子どもが声を上げることは少なく、いじめの実態はつかめていませんが、福島から避難している人の62%が、避難先でいじめや差別を受けたり、被害を見聞きしたりしたことがあるとの調査結果(2017年1-2月、朝日新聞など共同調査)があります。
 被災者の1人で「避難生活をまもる会」会長の鴨下裕也氏は、避難者の子どもの半数以上が何らかのいじめにあっているのではないかと指摘しています。

 遅蒔きながらも、副読本が今回「いじめ」をとりあげたことは評価できます。
 「いじめ」に関しては、これは原発事故に関わるいじめではありませんが、大津市で2011年に中学2年の男子生徒(当時13歳)が自殺した問題で、当時の同級生からの「いじめ」が原因だとして、遺族が元同級生3人と保護者に損害賠償請求を求めた訴訟の判決が2019年2月19日に大津地裁でありました。西岡裁判長は、いじめ行為と自殺との因果関係をみとめ、元同級生2人に請求のほぼ全額となる3758万円の支払いを命じました。
 判決では、いじめられた生徒の無力感、絶望感が、死にたいという願望を抱かせたとの言及がありました。いじめによる自殺という取り返しのつかない事件によって、「いじめ」に対する洞察が深められたものといえましょう。今後は「いじめ」が、このように重く扱われるようになることを願うばかりです。

  
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