p.12-5   X線検査
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■胃のX線検診 一回で3mSv
 旧副読本の早見表では、胃のX線検診(精密検査)は1回で0.6mSvになっていました。それと比べると、新副読本では胃のX線検診の被ばく量が大幅に大きくなっています。一定年齢以上の成人の方の検診では毎年のように実施されているバリウム検査による被ばくです。造影剤であるバリウムを飲んで、胃にたまっているところをずっとX線をあててモニターしながら胃の撮影をするわけですから、旧副読本の数値は明らかに誤りです。がんの早期発見のためということですが、この被ばく量を考えると、胃カメラによる検査の方がよいのではないかと思われます。p.12-6参照

■CT・PET・胃のX線検診
どの検査も「ICRP勧告における管理された宣言からの一般公衆の年間線量限度(医療被ばくを除く)」を一回の検査で超えています。
 この表現で、「医療被ばくを除く」ということは、医療被ばくには限界がないということです。被ばくのリスクに見合ったメリットがあると思われているので、被ばく検査を受けることになっています。
 日本の場合に問題なのは、X線検査の回数・頻度が極めて高いことです。ですから、上のグラフのように日本の医療被ばくは世界でダントツに多くなっています。

■医療被ばくから身を守るには!
 「医療被ばくから身を守る!」おかしな表現ですが、それが日本の笑えない現実です。
 X線医療機器が普及しているために、医者が安易にX線検査をするため、さらに問題なのは、被ばくに関する知識を医療関係者があまり知らないということです。X線検査をしても、その被ばく量を検査担当者が知りません。
 2010年2月、米国国立衛生研究所(NIH)はエックス線CT機器メーカーに対しNIHで使用するCT装置と放射線を使用する画像装置に、検査を受けた場合の線量を患者の電子カルテに記録できるようなソフトを取り付けるように要求したそうです。米国において全がんの1.5から2%がCT検査によるという報告を含めたBerrington等の研究結果を反映した措置とのことです。
 日本の行政関連ではこのような動きが見られません。原子力資料情報室関連のグループ"高木学校"では、市民が被ばく医療を受ける際に、線量を記録するための簡単な手帳を出版しました。被ばく医療を受ける際にこの手帳を検査担当者に渡して、線量を記録してもらいましょう。担当者がもし被ばく線量を知らないとしたら、それが問題ですので、調べてもらうようにしましょう。そうしたことから被ばくに関する知識を普及させる必要があります。この手帳で医療被ばくを自分で管理するしかありません。
   (画像をクリックすると、購入のページにリンクします。

p.11-4【歯のX線写真を撮るとき】参照



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