核兵器と核実験E

   旧ソ連の核汚染   




■カザフスタン・セミパラチンスクと北極海の核汚染
 旧ソ連の核汚染にはすさまじいものがあります。これまでに起きた事故で大事故の説明はしましたから見てください。
 セミパラチンスクでは核実験も多く行われ、住民に危険性を知らせず、避難もさせなかったという事情はアメリカと同じです。近くの住民は実験のたびに家の窓ガラスがすべて割れるほどの地震のようなゆれを感じ、危険も知らずにキノコ雲を見たりしました。そのため、後になって家族ぜんいんががんで死んだ家庭がでたり、赤ちゃんの流産や奇形が増えたりしています。
セミパラチンスク地下核実験:チャガン核実験(1965年)の映像
森住卓もりずみ たかしさんのホームページ セミパラチンスク

 セミパラチンスクに次ぐ旧ソ連の核実験場は北極海にあるノバヤ・ゼムリャ島です。ここでは133回の実験が行われ、さらに核の廃棄物が大量に捨てられたことも後に明らかになりました。
 北極地方の先住民はトナカイを主食としています。トナカイはヤゲリというこけを食べていますが、このこけが放射能で汚れているためにトナカイを食べている人の体は普通の人の10から100倍も放 射能がたまっています。この人々には食道がん、腎臓がんじんぞうがんが多く発生していると報告されています。

 大気圏内の核実験によってふき上げられた死の灰は上空に行って北極に流れ、ここで冷やされて地上にふって来ます。ですから北極の地は、ここで行われた実験だけでなく、太平洋やネバダで行われた核実験の被害も受けています。核被害には国籍こくせきや国境はありません。

 「ネバダ・セミパラチンスク運動」のように世界のヒバクシャは共通の苦しみを背負い、手をつなぎ協力して核兵器廃絶を訴えています。

■原子力潜水艦の事故
 日本には「核兵器を持たず、作らず、持ち込ませず」という非核三原則があります。それでも核兵器をつんだアメリカの原子力潜水艦が佐世保港や横須賀港にたびたび入港し、ついに2008年9月には横須賀港に火災事故を起こした原子力空母"ジョージワシントン"までやってきました。これらが原子力発電所よりも危険なのは、いろいろ理由があります。皆さんも考えてみてください。

 旧ソ連の原子力潜水艦の事故はたびたび起きています。最大のものはノルウエー沖1500kmで火災事故を起こし沈没した「コムソモーレツ号」で、1200メートルの海底に沈んでいます。このよう に深いところから原子炉を引き上げるのはとても危険です。沈没した原子力潜水艦はほかにもたくさんあり、その原子炉は海水によって腐蝕ふしょくされますから、中にある核燃料がとけだしてくるのは時間の問題でしょう。
 2009年2月の始めには核兵器を積んだ英国とフランスの原子力潜水艦同士が衝突事故しょうとつじこを起こしました。このような事故で地球全体に核汚染が広がったら、生き物たちはどうなるのでしょうか?



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