独立行政法人
日本原子力研究開発機構人形峠環境技術センター
アトムサイエンス館
ウラン坑道見学
低レベル放射性廃棄物の保管庫
ウラン濃縮プラント
人形峠レンガ加工場
感想

 1955年、岡山県と鳥取県の県境・人形峠周辺で、日本で初めてウラン鉱脈が発見され、その後約10年にわたって試掘がおこなわれた。しかし、ウラン鉱石の質が悪く採算が合わないため、よそから運んできたウランを使用しての転換・濃縮がおこなわれてきた。2001年には終了した人形峠事業所での経験は、青森県六ヶ所村の日本原燃ウラン濃縮工場でいかされている。現在、施設は解体・閉鎖され、その後始末を続けている。人形峠環境技術センターの「環境」を、原子力研究開発機構はWaste、つまり「廃棄物」と訳している。人形峠は放射性廃棄物の処分技術を研究する拠点である。

アトムサイエンス館(館長説明)

 ・各国がそれぞれの国の状況に合わせてエネルギー供給体制をとっている。
 ・日本はオイルショックの経験から、供給源を原発・天然ガス・石炭・石油等へ分散してい  る。
 ・人形峠事業所の果たした役割は大きい。ウラン坑道見学

【施設内立ち入りを前に身分証確認】
免許証等で事前に提出していた名簿と照合。人形峠事 業所はIAEA(国際原子力機関)の監視区域。人形峠事 業所の用意してくれたマイクロバスで立ち入り。

 

 

 

 

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ウラン坑道見学

 ウラン採掘当時の坑道が、教育の題材・観光資源とし て見学者用に整備されている。ウラン鉱石がブラックラ イトの紫外線を浴びて緑色に光っていた。現地スタッフ が持参した放射線測定器からバリバリと不気味な音。純度が低くて放棄されたこの坑道でもこの調子だ。(最大1.8マイクロシーベルト)
目盛り  以前からいろいろな団体が、バス代無料、昼食付きなどの特典を目当てに原子力関連の施設を見学した。私の妻子も地域の女性団体のメンバーとして、整備された直後のこの坑道に入った。私は教材カタログで見つけた放射線測定器を教材社から購入していたが、どこで使っても一度も反応することがなく、壊れているのかと思っていた。妻はその測定器を持って行き、坑道の入り口から中に入れなかったそうだ。その測定器がバリバリと反応したからだ。
 この施設では子どもを対象にした科学実験教室が毎年おこなわれ、地元を中心に少なくない参加がある。同じ放射線を受けても子どもの方が影響が大きいのに、この坑道にも入っているそうだ。また、一度しか入らない私たちと違い、案内をしてくれる若い女性は何度も何度も坑道に入るわけで、大丈夫かと心配になった。
ブラックライト  肺ガンの原因になるラドンガスが充満しているので、見学者が坑道に入る時には1時間前から換気しているそうだ。

 

 

 

 

 

 

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低レベル放射性廃棄物の保管庫

 作業等により放射能に汚染された衣服・掃除用具・廃液などを、焼却などによって減容したものが詰め込まれている。黄色いドラム缶に入れられ、最終的には14万本に。国の計画では、地面から数メートル掘り下げて、土をかぶせるそうだ。
 石尾さんの要求に事業所が応じ、鍵を持った職員が車で駆けつけ、貯蔵施設内に入って間近に見ることができた。(0.15マイクロシーベルト)measuring

【ウラン濃縮プラント内立ち入りを前に、再び身分証確認】
 写真撮影の禁止も、再度言い渡された。

 

 

 

 

 

 

 

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ウラン濃縮プラント

 廊下の先の小窓から、施設内を見学した。機械だらけの施設で、遠心分離器はよくわからなかった。
 1979年以降、20余年にわたりこのプラントで核燃料が生産されてきた。遠心分離器の中、パイプの内側、機外に漏れ回収材に付着したウランは、約100トンとも。放射能に汚染された機器と貯蔵施設・建家などがまるごと放射性廃棄物として人形峠に残される。現在、遠心分離器の解体・除染の研究開発がおこなわれており、1230基のコンテナに入れられ、「スソキリ処分」を待っている。
 事務所の中で、20人ほどの職員がパソコンで仕事していた。廊下では数人の技術者らしい人にすれ違った。廊下には労組の掲示板もあった。

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人形峠レンガ加工場

ウラン残土 鳥取県湯梨浜町方面(かたも)地区から撤去したウラン残土をレンガに加工する工場がこの4月28日に完成した。場所は岡山鳥取県境の鳥取側で、人形峠事業所と隣接したところ。JIS準拠のセメント固化方式で「物性確認試験」用に2万個作られている。ちなみにJISには放射線の基準はないそうだ。2011年6月までに5000トンのウラン残土レンガを生産し原子力研究開発機構の10事業所に配給するそうだ。
 岡山スタッフの放射線測定器で測ったところ、レンガ固化前粉体が0.5マイクロシーベルト、レンガAロットが0.25同、Bロットが0.4同、Cロットが0.65同とガンマ放射線の高い製品だった。(バックグラウンド0.08同)レンガ

 

工場

 

○巡検メンバーが来る前に
 「妖精の森ガラス工房、美術館」を鏡野町が整備して体験、見学のできる観光施設となっている。ガラス原料にウランを添加したウランガラスが売り物。ここの敷地内に0.25同の反応を示す場所があり、館長立ち会いのもとで測定をおこない、数値の確認をした。

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感想

 48Yシリンダーに詰められた、ガス状の劣化6フッ化ウラン。耐震強度が心配され る鉱滓ダム。高レベル放射性廃棄物処分場の調査が疑われる1000メートル級のボー リング坑など、見てもらいたい施設が他にもあったが、時間の関係で残念だった。岡山スタッフの石尾さん、中島さん、田口さんの戦いの歴史も知っていただきたかった。人形峠が高レベル放射性廃棄物処分場の第1候補との危機感を持って、私も活動を 続けていきたい。
 「一度人形峠に来たかった。」という参加者の方の声を聞いて、うれしく思った。
 岡山県と日本原子力研究開発機構が結んでいる環境保全協定は、0.1マイクロシーベルトであることを、最後にお伝えしておきます。