中学生・高校生のための放射線副読本 ~放射線について考えよう~ コメントリンク |
●このページでは、「中学生・高校生のための放射線副読本~放射線について考えよう~」(新放射線副読本・文科省2014.3.発行) を批判的に検証します。 ●2011.10.に発行された旧放射線副読本が原子力業界の立場に偏っていて、放射線の影響を過小評価し、現実の福島原子力発電所の事故にまったく言及しないなど、多くの批判が寄せられていました。今回、文科省は新たに放射線副読本を刊行し、内容の改善を図ったようですが、まだ問題点が多くあります。ここでは、もし授業で副読本を使わなければならないとしたら、どのような点に留意したらよいのか、抜けている問題の指摘などを中心にまとめてみました。 ●問題は私たちが思いついたものだけでは無いと思います。ご覧いただき、お気づきの点がありましたら、ご連絡ください。 |
■新放射線副読本 全体的な問題点■ ●「風評被害」が全面的に強調されています。 福島では「風評被害」とばかりはいえない「実害」が起こっています。「実害」については、触れられていません。とりわけ健康被害については、実際に症状が子どもたちをはじめ確認されていますが、副読本ではまったく触れられていません。。 ●放射線の健康影響がきちんと書かれていません。 「100mSv以下の被ばくについては、影響がはっきりと確認されていません。」とか「さまざまな議論があります。」などという言い方で、健康影響についてはほとんど触れられていません。しかし、現実に被ばくした人にとっては、議論している場合ではありません。明確な結論が出ていないにしても、予防原則の立場に立ってきちんと影響を予測し、対策を立てるべきですが、具体的な対応は皆無です。 ●「復興・帰還」が既定路線になっています。 すべての被害を風評として、健康影響にも触れていないことの帰結は「復興・帰還」です。原子力発電所の事故がなかったかのように、従前の状況に戻すことを意図しているようです。しかし、現実に人々は故郷に戻ることができないでいます。そうした現実には触れず、「復興・帰還」を前提にして記述されています。 ●事故原因・被害に関わる「反省(問題点の指摘)」が書かれていません。 あたかも福島原発事故に関して国・政府の対応に問題が無かったかのような記述です。この点は日本のお役所仕事のいつもの悪いところですが、現実に起こってしまった事件・事故についてのきちんとした分析・検証・反省がなく、場当たり的に次の対策が立てられてきます。分析・反省のないところにきちんとした対策は立てられません。 以上のことから、この副読本で勉強しても、安心・安全な暮らしを送ることができるようになるとは、とても思えません。 どんなことに注意して放射線のこと、福島のことを扱えばいいのか、私たちが考えたことを見てください。 |
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